寺院を創建することを「開基」といい、その建立に携わった人々を「開基家」と呼んでいます。高徳寺は江戸幕府の入府により徳川家康公の命にて、甲賀組である遠藤宗家が開基家として天正七年(1579年)に建立しました。
その際、甲賀組が信仰の対象としていた浄土宗の寺院もともに近江国の甲賀郡から江戸に移転しました。
嘉永二年(1849年)十一月、『徳川幕府寺社奉行』に録上したもののなかに、【浄土宗 京都知恩院未寂光山唯心院 高徳寺】とあり、甲賀組が幕府から給った年貢地が原宿村にあり、今では寺の年貢地になっていると記述されています。そのことから、遠藤宗家第十五代当主 遠藤榮(大正天皇 宮内庁 東宮侍従)等が檀家総代を務めました。
石碑(せきひ)
徳川家康公の命で、甲賀組が天正七年(1579年)に建立しました。
昭和四十二年三月 建之 第十八世 文誉代。
御祈祷(ごきとう)
初宮詣等のご祈祷が行われます。
御本殿扉(ごほんでんとびら)
御本殿の扉で、左右に徳川将軍家の葵家紋が設置されているところから葵扉とよばれています。
御本殿(ごほんでん)
本殿・拝殿からなり、高徳寺の最も重要なところです。
例祭をはじめ、年中の祭典が斎行されます。
御本殿瓦(ごほんでんかわら)
徳川将軍家の葵家紋。
御本殿内(ごほんでんない)
甲賀組が信仰の対象にしていた浄土宗として、儀式法要を行います。
御本殿仏像(ごほんでんぶつぞう)
本殿内にある黄金仏像。
御本殿獅子絵(ごほんでんししえ)
本殿内にある獅子舞絵が左右に設置されています。
遠藤宗家石碑(えんどうそうけせきひ)
遠藤宗家第十五代当主 遠藤榮 昭和_九年七月吉辰 建立。
遠藤宗家第十七代当主 遠藤寬 平成十三年五月吉日 再建。
遠藤宗家墓所(えんどうそうけはかしょ)
遠藤宗家 直系のあるお墓所です。
石高:一万石以下
旗本:徳川将軍家 直参御目見得
客殿(きゃくでん)
来客やご祈祷者をお迎えする施設。
客殿仏像絵画(きゃくでんぶつぞうかいが)
貴賓室にある仏像絵画。
御本殿設計図(ごほんでんせっけいず)
本殿建築設計図(縮尺五十分之壱)
昭和二十八年六月
高徳寺航空写真(こうとくじこうくうしゃしん)
菩提寺を上空から撮影。
遠藤宗家 五輪塔は、昭和九年七月吉辰に建立されました。高徳寺は徳川家康公の命にて、甲賀組である遠藤宗家「開基家」が天正七年(1579年)に建立しました。建立時の当家墓所は、遠藤宗家 五輪塔の墓下に安置されています。
仏教で言う塔(仏塔)とは、卒塔婆(ストーゥパ)として仏舎利と同じ様な意義を持っています。中世の一部の五輪塔には、地輪内部に遺骨を納めたものが現存し、供養塔として或いは墓塔として使われ五輪卒塔婆、五輪解脱とも呼ばれています。
「日本人のお墓」の意味、考え方、供養など「五輪塔」という墓形を通じて高野聖たちが全国に広め、真言密教に限らず他の宗派にも理解され、これがお墓の基準となったと考えられます。
密教において創始された塔形で、下方より地輪、水輪、火輪、風輪、空輪の五部を積み上げ、地・水・火・風・空の五大を現すものとし、この形態を胎蔵界大日如来の三昧耶形(密教で、仏、菩薩が一切衆生を救済するためにおこした誓願を象徴するもの。)とします。
五大思想(宇宙の構成要素に就いての考え)は元来インドにあり、中国においても早くからあったらしいのですがこれをおそらく空海に依って密教が真言宗として成立したのと等しく密教の思想、特に空海(著作「即身成仏儀」等)や覚鑁上人(著作「五輪九字明秘密釈等)の影響が強く五輪塔の生まれる原理、理論となり日本独自の五輪形態を成し平安中期ごろから作られる様になりました。
五輪塔は下から方形=地輪、円形=水輪、三角形(または屋根形)=火輪、半月形=風輪、宝珠形=空輪によって構成され、材質は石造のものが主体をなすが木製、金属製、鉱物製(水晶等)、泥造など、また制作された時代や環境によって形態が微妙に変化しています。
全ての物質は四角、丸(玉)、三角、半円、宝珠の五つの相で成り立つとし、これを組み合わせることによって五輪塔の形を作り上げています。
五輪塔に刻む文字 梵字(種字、サンスクリット)は、
下から「(地)」、「(水)」、「(火)」、「(風)、「(空)」が使用されています。
四面に刻まれる場合もありますが、ほとんどの場合「東方の発心門」の梵字を正面だけに刻みます。
浄土宗、浄土真宗では南無阿弥陀佛、日蓮宗では南無妙法蓮華経と刻む場合もあります。
四方梵字とは本来の五輪塔も四方正面となり、宝篋印塔の四方に四仏を顕すのと同様に四面にそれどれの性格の梵字を刻みます。
遠藤宗家 第十五代当主 遠藤榮は、弘法大師 空海の六大体大説の理論を通じて、芸術の意識を高めました。
弘法大師 空海
遠藤宗家の墓所にある教義石碑には、【一念彌陀佛 即滅無量罪・現受無比樂 後生清浄土】の彫刻がほどこされています。
御守十三佛 両界曼荼羅
・初七日忌_-(不動明王)
・__功_徳 - 煩悩を焼き尽くし、迷いを断ち切り、信心を定めて強い力で導いてくれます。
・二七日忌_-(釈迦如来)
・__功_徳 - 説法によって煩悩や邪見(誤った信仰や考え方)を破り、正しい信仰に導いてくれます。
・三七日忌_-(文殊菩薩)
・__功_徳 - 分けへだてする愚かさを断ち、物事を正しく判断する智慧を授けてくれます。
・四七日忌_-(普賢菩薩)
・__功_徳 - 悟りを求める清らかな心、そして悟りをめざした実践行に導いてくれます。
・五七日忌_-(地蔵菩薩)
・__功_徳 - あらゆるものの苦しみをうけとめ、その苦しみに負けない力を授けてくれます。
・六七日忌_-(弥勒菩薩)
・__功_徳 - すべてのものに対する慈しみの心を授けてくれます。
・七七日忌_-(薬師如来)
・__功_徳 - 心身の病苦を除き、苦しみや恐れを除いてくれます。
・百日忌__-(観音菩薩)
・__功_徳 - 世の中を広く観察し、すべての苦しみを除く、深い思いやりの心を授けてくれます。
・一周忌__-(勢至菩薩)
・__功_徳 - 我欲、執着を滅し、とらわれを除く心を授けてくれます。
・三回忌__-(阿弥陀如来)/ 遠藤宗家 第十四代当主 遠藤市次郎の三回忌による遠藤宗家 墓所建立。
・__功_徳 - 生死を離れた、安らかなる心を授けてくれます。
・七回忌__-(阿閦如来)
・__功_徳 - 何ごとにも揺らがない心と、怒りを離れた安らかなる心を授けてくれます。
・十三回忌_-(大日如来)
・__功_徳 - 生命の尊さを知らしめ、生まれながらにそなえている自身の清らかな心に気づかせてくれます。
・三十三回忌-(虚空蔵菩薩)
・__功_徳 - 福徳と智慧を授け、生命の根源に気づかせてくれます。
尚、年回法要は上の他に十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十七回忌、四十三回忌、四十七回忌、五十回忌、百回忌と営まれ、それぞれ大日如来がお導き下さる仏さまと定められています。
【国宝】法界寺「阿弥陀如来坐像」
【_三_廻_忌_】 | 阿彌陀(あみだ)如来(Amita-bha(アミターバ);阿彌陀婆=無量光、Amita-yus(アミターユス);阿彌陀庚斯=無量壽、Amr.ta(アムルタ);無量清浄佛、甘露王如来などという。) |
【__種_字__】 | きりく(hri-h.) |
【_真言陀羅尼_】 | (慣用音) おん、あみりた・ていせい、から、うん |
【__原_語__】 | Om.(オン) amr.ta(アムルタ)-teje(テジェ) hara(ハラ) hu-m.(フーン) |
【___訳___】 | 無量光(佛)よ滅罪せしめ給えウン(帰命したてまつる。甘露「不死」の威光ある尊よ、運載し給え。フーン。) |
【__教_義__】 | 一念彌陀佛 即滅無量罪 現受無比樂 後生清浄土 (いちねんみだぶつ そくめつむりょうざい げんじゅむひらく こうせいしょうじょうど) |